執筆:川口 由美子|グローバル・マクロ・アナリスト
発行:2025年2月3日
第1位:米国が改めて「関税の大波」を投下
2月3日、トランプ政権は予告通り、カナダ・メキシコに25%、中国に10%の追加関税を発動し、それを受けてアジア市場が再び急落しました。日経平均も2.9%下落し、多くの輸出企業株が深い傷を負いました。
過去の為替・物価・金融ショックと異なり、今回の関税は長期化の可能性が高く、構造変化を伴う恐れもあると市場は警戒。特に、自動車・電子部品・化学メーカーなどには耐久戦が求められています。
海外情勢に振り回されないよう、内需・生活密着型銘柄を軸に、守りながら機を見るのが得策です。
第2位:個人マネーが「海外→国内」へ回帰する本当の意味
2月初め、国内の高齢投資家を中心に、外国株2700億円相当を売り、日本の高配当株や国債に回した動きが顕著になっています。
円安・円高の振れ幅で「本来の資産能力」が削がれてしまうことを実感。安全資産は資産運用の最重視テーマとなっています。
JT、オリックス、三井住友FGなど、“配当収入が第二の年金となる”銘柄をじっくり探してみましょう。
第3位:900円安は“想定内”で済まない、でも対応策はある
1日で日経平均が2.9%下落(約900円安)。年金への影響が頭をよぎった方も多いはず。とはいえ、これは警鐘であり、道しるべでもあります。
医療・ヘルスケア(武田薬品、塩野義)、インフラ・通信(NTT、西日本電信)など、生活の根幹に関わる企業ほど“下げにくい”選択です。
第4位:円高でも“株高”になる矛盾、その背景にある流れ
通常、円高=株安の公式が当てはまらない局面。米関税ショックで海外リスクが高まる中、国内資金が「逃げ場」として株式に戻る傾向が見られています。
イオン・すかいらーく(外食)、JAL・ANA(旅行)、通信・電力株など、日常から離れない銘柄達です。
第5位:実感として家計が圧迫されているインフレが継続中
日本の消費者物価の伸びは引き続き+3.7%台。じりじりと、しかし確実に家計を圧迫しています。
インフレで恩恵を受ける金融株(三菱UFJ、第一生命)や資源価格に反応するINPEXなどは、生活防衛に貢献する株です。
第6位:IMFが警告「日本の金融機関に潜む3つの死角」
IMFが、日本の金融機関に『急激な金利上昇』『外貨負債依存』『不動産集中』リスクがあると指摘。
財務健全な銀行株を選ぶ(三井住友FG)、REITへの偏りを避け、インフラファンドも検討すべきです。
第7位:GDPは回復傾向でも“物価高”が利益を圧迫
Deloitte報告では、日本の実質成長は1.2%も、物価高が企業利益を引き下げているとのこと。
キーエンス(自動化設備)、オムロン(省力化)、パナソニック(省エネ家電)などが強い体質を持っています。
第8位:年末の日経4万円説—but、それに盲目的にならないで
20社のアナリスト多数は年末に日経平均40,000円超と予測中。
時間分散で”積立投資スタイル”が安定への近道。無理せず少額から、長く続けられる形を。
第9位:地政学リスク再燃がもたらす“巻き込み被害”
関税応酬、米中国交渉の綱引きで、ハイテク・自動車株への圧力が続いています。
JR東日本、東京ガス、NTTなど国内に根ざす事業モデル企業は今回の嵐にも耐えうる存在です。
第10位:半年後のリスクと期待、その両方を抱きしめる
6月までにプラス4.6%という中期見通しもあります。ただし、その恩恵を受けるには今の判断が問われる状況です。
賢く分散、守りと攻めのバランスを取る。焦らず、でもチャンスは逃さずに。
川口由美子からのメッセージ
65歳からの投資は、“備え”と“機会”を冷静に見定めることが大切です。
焦りは禁物、でも“安心”だけでも不足します。
少しずつ、丁寧に。これこそが、あなたの未来をつくる投資法です。